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しっぽの動物小話

しっぽの動物小話 第五回「春、仔猫を見かけたらまず考えること」~保護する前に知っておきたいこと~

更新)

こんにちは。

 

また大変お久しぶりとなってしまいましたが、皆様お元気でいらっしゃいましたでしょうか?

3月になり、雪解けとともに日差しが少しずつ長くなり、春の気配を感じる季節となってきました。

 

春から夏にかけて、毎年必ずお聞きするのが
「仔猫を見つけました」というご相談です。

 

最近はSNSでも仔猫を保護したという投稿もよく見かけるようになりました。
特に春から初夏にかけて多く見られます。

 

なぜこの時期かというと、春から夏にかけて出産が増えるためです。
地域によっては秋も多いです。

 

これは前回のコラムで書かせて頂いていますのでぜひご参照ください。

 

(しっぽの動物小話 第四回「どうして野良猫って増えるの?」~猫の繁殖のしくみ~ | しっぽの動物小話 | まいぷれ[苫小牧市])

 

 

今回は、
「仔猫を保護したらすること」
についてお話させていただきます。

 

おとなの猫を保護した場合にも当てはまる内容がありますので、参考のひとつとしてお読みいただけましたら嬉しいです。

 

(※状況によっては当てはまらない場合もあります)

 

※本コラムはあえて「保護」を「拾う」と表現させていただいている箇所がございます。
どうかご理解いただけますと幸いです。

内容はこちら!

 

・保護する前に知ってほしいこと(1~4)
・安全・衛生・保温 ― 仔猫を守る基本の初動
・ミルクと授乳のポイント
・毎日の体重チェックと健康管理
・キャリーで作る安全基地

 

などなどの内容をシリーズでご案内させていただきます。

1 保護(ひろう)前に知ってほしいこと
仔猫を拾う(保護する)シーンは、意外と予期せぬタイミング・予期せぬ場所で訪れることが多くあります。

 

例えば

 

・自宅の物置で生まれていた
・職場の倉庫で生まれていた
・車のボンネットの中で生まれていた
・道端で見つけた
・保護団体や動物病院の里親募集で迎えた
・友人が保護した猫を譲り受けた

 

など、出会い方は本当にさまざまです。

 

とても愛らしい姿の仔猫は、母親がなく寂しそうに見えたり、とても弱々しく見えたり…

 

「守ってあげなければ」
と感じることが多いと思います。

 

ですが、安易な保護が願いとは逆に仔猫の命を危険にすることもあります。

 

その目の前の命をひろう前に、少しだけ立ち止まり、心の中で確認していただきたいことがあります。

 

決して
「拾ってはいけない」
という意味ではありません。

 

むしろその優しい気持ちは、とても大切なものです。

 

ただ、現場では

 

・先住猫へ感染症を広げてしまう
・体調不良や衰弱のサインに気づきにくい
・必要な医療につながらないことがある
・環境や生活リズムが合わず負担になってしまう
・結果として飼育継続が難しくなる

 

こうした残念なケースにつながる現実があり、私も現場で多く見てきました。

 

このコラムを読んでくださっている方の多くは、動物を大切にされている方がほとんどかと思います。

 

ですが、これから仔猫を迎える可能性のある方にも、
命を迎えるということへの大きな覚悟と重い責任について知って頂き、

 

こちらをお読みくださった皆様から
1人でも多く、正しい知識の輪がやさしく広がってくれることを願っています。

2 保護は“善意”だけでは守れない


少々手厳しいタイトルで申し訳ございませんが、仔猫を拾うということは

 

「その命の行き先と健康を引き受ける」

 

ということでもあります。

 

仔猫のお世話は、数時間だけでは終わりません。
特に新生仔猫の場合は、1日24時間フルに近いケアが必要になります。

 

他にも

 

・医療費や通院にかかる時間
・駆虫やワクチン
・不妊去勢手術
・適切なフードの購入
・譲渡する場合の責任
・先住猫への感染対策
・猫の習性に合わせた住環境づくり
・ライフステージが変わっても共に暮らす覚悟
・日々の健康管理
・そして飼い主自身の健康管理

 

これらも含めて「保護」です。

 

拾った野良猫の子も、ペットショップで迎えた子も、生きている限り病気をします。

 

そして病気になったときには、苦痛を和らげてあげるための医療とケアが必要になります。

 

仔猫を見つけたときは、まず一度立ち止まり、ご自身の中で確認してみてください。

 

「かわいい」
「かわいそう」

 

と感じる気持ちは、とても優しく、人が持つ大切な感情のひとつです。

 

その気持ちを、仔猫を守るための正しい行動につなげていきましょう。

3 すぐに拾わないという選択


もし道端で仔猫がいたら。
自宅の物置で仔猫が産まれていたら。

 

春から夏(地域によっては秋も)は出産シーズンのため、この時期は仔猫のご相談を多くいただきます。

 

一見「捨て猫」に見えても、母猫が近くで見守っていることがあります。

 

母猫は人の気配を感じると戻ってこなくなる場合がありますので、
まずは様子を見ることが大切です。

 

可能であれば

 

・少し距離をとって静かに観察する
・体が冷たくなっていないか(低体温サイン)
・お腹はふくらんでいるか(授乳されているサイン)
・弱々しく鳴き続けていないか
・兄弟猫が近くにいないか

 

などを確認してください。

 

これらは、母猫が直前まで世話をしていたかどうかを判断するひとつの目安になります。

 

「すぐに拾うこと」が必ずしも最善とは限りません。

 

特に新生児の時期は母猫による育児がとても重要です。

 

人工哺乳よりも、母猫が育てる方が身体的健康、精神的健康ともにはるかに健やかな成長につながることが多いからです。

 

仔猫を見つけたら、まずは一度立ち止まり、周囲の状況を確認してみてください。

 

もしその場所が交通量の多い場所である、カラスが多いなど危険であれば、
直接触れないよう注意しながら、そっと安全な場所へ移動させて見守る方法がとられることもあります。

 

観察の目安は仔猫の状態にもよりますが

 

数時間(6時間~最大12時間程度)、
少し離れた場所から様子を見ることが勧められています。

 

ただし、低体温や衰弱など命の危険がある場合は、この限りではありません。

 

仔猫を見つけると
「助けなきゃ」
と思う気持ちはとても自然なことです。

 

けれど、小さな命を守るためには、気持ちだけでなく準備や環境も大切になります。

 

無理のない形で関わることが、結果的に仔猫にとっても人にとっても幸せにつながります。

 

では、もし本当に仔猫に出会ったら…?

 

「どうしよう」と多くの方は焦ってしまいます。
それはごく自然なことです。

 

連れて帰るべきか、その場に残していいものか、
残した場合この子の命は大丈夫だろうか…。

 

頭では理解していても心は迷います。

 

そんなときこそ、一人で抱え込まないでください。

次回は、仔猫を見つけて迷ったとき

 

「一人で抱えないために。迷ったら相談するところ」

 

についてお話しします。

 

お力になれると幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。
また次回お会いしましょう。

 

ライラのしっぽでした。

 

吉成しおり
(ペットのトータルケア ライラのしっぽ代表/愛玩動物看護師)

参考資料
・『動物形態機能学・動物繁殖学』interzoo(全国動物保健看護系大学協会カリキュラム委員会)
・堀達也先生 講演
「犬と猫の繁殖学基礎講座」(日本臨床獣医学フォーラム第 15 回・2013 年)
「犬と猫 帝王切開前後の看護の注意点」(日本臨床獣医学フォーラム第 16 回・2014 年) 「犬と猫における新生児の看護」(日本臨床獣医学フォーラム年次大会 第 17 回・2015 年) 「犬と猫の繁殖の基礎」(日本臨床獣医学フォーラム第 18 回・2016 年)
・太刀川史郎先生 講演
「愛玩動物看護師のための子猫セミナー」(九州動物のための研究会主催・2024 年)
・服部幸先生 講演
「子猫の迎え方セミナー」(服部幸セミナー事務局主催・2026 年) ※本コラムは、動物看護学の教科書および獣医療関係者講義の内容を参考に、飼い主さまにも分かりやすくまとめてい ます。実際の対応は状況によって異なる場合がありますので、ご不安な場合はかかりつけの動物病院へご相談ください。
参考リンク
・北海道環境生活部動物愛護センター
新しい飼い主さんを募集中の犬・猫 - 環境生活部動物愛護センター
・ツキネコ北海道
https://tsukineko.net
・公益財団法人 どうぶつ基金
どうぶつ基金 – どうぶつ基金は、猫や犬とヒトが幸せに優しく共生できる社会を目指します。
・No Kill Pima County 新生児、乳児、または若い子猫を見つけたときにすべきこと(およびやってはいけないこと) |ノーキル・ピマ郡 ・Alley Cat Allies
私たちの仕事|アレイキャット・アライズ |猫の保護と生活向上

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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