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しっぽの動物小話

しっぽの動物小話 第六回「春、仔猫を見かけたら考えること②」~相談先と、助けたい気持ちとの向き合い方~

更新)

こんにちは。
ライラのしっぽです。

お読みくださっている皆様、ありがとうございます。

前回は、保護をする前に知っておきたい大切な視点についてお伝えしました。

 

 

かといって、仔猫を見つけたとき、何日も母猫が戻るのをただ待つのは、とても心配になります。

待ってみても母猫が戻らない、仔猫の状態が良くない、カラスなどの外敵に明らかに狙われている…

そのような状況では、保護を検討する必要が高くなります。

 

不安な場合は、詳しい方に「状況を相談する」という選択があります。

今回はその続きとして、

・実際に迷ったときの「相談先」と「その考え方」
・猫の保護に迷う苦しみを経験しないために

についてお話しします。

 

今回も少々手厳しいことをお伝えする場面もございますが、状況によってはすべてがこの通りに進む必要があるとは限りません。

 

ご参考としてお読みいただけますと嬉しいです。

 

では、よろしくお願いいたします。

実際に困っている猫を見つけたとき、「どうしたらいいのか分からない」と感じるのは当然のことです。

そんなときは、一人で判断せず、必ず相談できる先を頼ってください。

※以下は相談の受け入れをしていない場合もございますのでご注意ください。

●お住まいの自治体(保健所・動物担当窓口)

地域の野良猫の状況や、TNRの取り組み、関係団体との連携をしていることが多いです。

 

状況によっては、地域で活動しているボランティアや支援先を紹介してもらえることがあります。

 

猫の個体管理が行われている場合もあり、どのようにするのが良いかアドバイスをもらえることもあります。

 

●動物病院

 

仔猫の健康状態の確認はもちろん、「保護が必要な状態かどうか」の判断も非常に重要です。

 

先天性の病気や重度のケガなど、難しい判断が必要な場合には、専門的な視点から適切な選択肢を示してもらえます。

 

飼育経験者の意見も大切ですが、獣医療の専門的な意見を参考にしましょう。

 

●地域の保護団体やボランティア

 

実際に現場で多くの経験をしている方たちです。

 

保護の方法や、その後の育て方、場合によっては引き取りやサポートについて相談できることもあります。

 

ただし、どの団体も余裕があるわけではありません。

 

多くの命を抱えている現状もあるため、「すぐに引き取ってもらえる」とは限らないことも理解が必要です。

 

ここで大切なポイントがあります。

 

「相談先」は、必ずしも引き取りや受け入れが可能とは限らない、という点です。

 

多くの機関や団体も、限られた体制の中で活動しています。

 

近年では負担の多さから多頭飼育崩壊となってしまうケースも増え、保護団体への「頼り方」も少しずつ変わってきています。

 

・今どのような状態なのか
・どんな対応が望ましいのか
・まず何を優先すべきか

こうした内容を、丁寧に、敬意を持って相談しましょう。

「誰かに預けること」を前提にするのではなく、どうすればその命を安全につなげられるのかを一緒に考える。

 

これもまた、関わった人の大切な責任のひとつです。

 

・一人で抱え込まないこと
・関わる中で、自分にできることを考えていくこと

 

そのための相談でもあります。

 

そして大切なのは、

 

・早い段階で相談すること
・複数の視点から判断すること

 

です。

 

そしてもう一つ。

 

「助けたい」という気持ちと同時に、「自分がどこまで関われるのか」を冷静に考えることも、とても大切です。

 

命に関わることは、きれいごとだけでは進みません。

 

だからこそ、信頼できる人や機関とつながりながら、無理のない形で関わっていくことが、結果的に命を守ることにつながります。

 

もう一点、大切なことをお伝えします。

 

私はこれまで、善意から保護された仔猫が、何らかの原因で命を落としてしまった場面をたくさん見てきました。

 

助けたい気持ちは、本当に尊いものです。

ですが現実には、保護すれば必ず幸せになれるとは限らない、という場面も存在します。

 

どれだけ一生懸命に向き合っても、動物の命はとても繊細で、守りきれないことも少なくありません。

 

・生まれつきの病気や奇形を抱えている子
・外での生活の中でケガを負っている子
・懸命にお世話をしても思うように成長できない子

 

時には、適切な医療判断のもとで安楽死という選択が必要になることもあります。

 

そしてその経験は、関わった人の心に深く残ります。

 

「助けたかった」
「これで良かったのだろうか」
「自分の判断が本当に良かったのか」

 

そうした思いを抱えながら過ごしていく方は、決して少なくありません。

 

だからこそ大切なのは、目の前の命だけでなく、これから生まれてくる命をどうするか、という視点です。

 

外で暮らす猫たちのためにできる現実的な取り組みの一つが、TNR-M(捕獲・不妊去勢手術・元の場所に戻し地域で見守る)です。

 

繁殖を防ぐことで、不幸な命が増えることを防ぎます。

 

・過酷な環境での出産や子育て
・危険の多い中で育つ仔猫
・発情による喧嘩や感染症
・鳴き声トラブルや交通事故

 

これらを減らすことにつながります。

 

仔猫を置いてくるつらい行動を、いつか必要としない社会へ。

 

そのためには、

 

・特定の場所で仔猫が生まれ続ける環境をつくらないこと
・猫が集まりやすい場所を見直すこと
・繁殖の条件を人が揃えてしまわないこと

 

こうした積み重ねが重要です。

 

「助ける」という行動と同じくらい、「これ以上つらい命を増やさない」という選択も、やさしさのひとつです。

 

自分のためにも、そして命のためにも。

 

抱え込まず、正しい知識とつながりを持つこと。

 

それが、悲しみを減らし、やさしい循環をつくる第一歩になります。

 

ここまで、外で暮らす猫との関わり方や、命に向き合ううえで大切な視点についてお伝えしてきました。

 

では実際に、保護を決断したとき、その後にどのような行動をとるべきなのでしょうか。

 

仔猫の命はとても繊細で、わずかな判断や知識の差が大きな結果につながります。

 

・低体温や低血糖

・ミルクの誤嚥
・感染症の拡大

 

こうしたリスクもあります。

 

次回は、

 

保護直後にまず何をすべきか
(保温・授乳・受診の判断)

 

についてお伝えします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

では次回またお会いしましょう。

 

ライラのしっぽでした。

 

吉成しおり
(ペットのトータルケア ライラのしっぽ代表/愛玩動物看護師)

※本コラムは、過去の学習・講義内容も含めて構成しています。
参考資料 ・『動物形態機能学・動物繁殖学』interzoo(全国動物保健看護系大学協会カリキュラム委員会) ・堀達也先生 講演

「犬と猫の繁殖学基礎講座」(日本臨床獣医学フォーラム第 15 回・2013 年)
「犬と猫 帝王切開前後の看護の注意点」(日本臨床獣医学フォーラム第 16 回・2014 年) 「犬と猫における新生児の看護」(日本臨床獣医学フォーラム年次大会 第 17 回・2015 年) 「犬と猫の繁殖の基礎」(日本臨床獣医学フォーラム第 18 回・2016 年)
・太刀川史郎先生 講演 「愛玩動物看護師のための子猫セミナー」(九州動物のための研究会主催・2024 年) ・服部幸先生 講演
「子猫の迎え方セミナー」(服部幸セミナー事務局主催・2026 年)

参考リンク
・北海道環境生活部動物愛護センター
新しい飼い主さんを募集中の犬・猫 - 環境生活部動物愛護センター
・わんにゃんぴっ相談室
Home | わんにゃんぴっ相談室
・ツキネコ北海道
https://tsukineko.net
・株式会社ニコックス
移動式手術室ニコワゴン | 必要な時に、必要な場所へ獣医療をお届けします。
・公益財団法人 どうぶつ基金
どうぶつ基金 – どうぶつ基金は、猫や犬とヒトが幸せに優しく共生できる社会を目指します。
・No Kill Pima County 新生児、乳児、または若い子猫を見つけたときにすべきこと(およびやってはいけないこと) |ノーキル・ピマ郡 ・Alley Cat Allies
私たちの仕事|アレイキャット・アライズ |猫の保護と生活向上

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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