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しっぽの動物小話

しっぽの動物小話 第七回「仔猫を見かけたら考えること③」~命を守るための「隔離」と「保温」~

更新)

こんにちは。
ライラのしっぽです。

あっという間にゴールデンウイークが過ぎ、少しずつ初夏らしさを感じる頃となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

前回は、保護を決断するまでの考え方や、相談先についてご紹介しました。

 

 

では仔猫を保護したあと、最初にどのような対応をすれば良いのでしょうか。

今回は、保護直後に大切にしてもらいたいことをご案内させていただきます。

良ければご一読お願いいたします

仔猫を保護した直後、主に思い浮かぶのは
・ミルクをあげること

ですが、ミルクより少し前に優先してほしい大切なことがあります。

それは

・他の動物と分けること(隔離)
・体を冷やさないこと(保温)です。

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まず最初に大切な「隔離」環境作り
救済が必要な仔猫などを保護した後は、他の猫や動物と仲良くさせることで、少しでも安心するのでは、と仔猫を想ってくださる方はとても多くいらっしゃいます。
ですが、他の動物に接することで起きてしまう危険なことがございます。
そのため、保護直後から当分の間は、他の動物と直接または間接的に接することの無いように、それぞれの「生活環境」を分け、「隔離」がされた管理をすることが重要です。
生活環境を分けて管理することは「ゾーニング」とも呼ばれます。
ゾーニングが重要な理由
・一緒に暮らしている動物や人へ、感染症や寄生虫を広げてしまう可能性があるため
感染症が広がってしまうことは珍しくなく、時に先住猫を失ってしまう恐れもあります。また、人に感染すると重症な疾患を引き起こす寄生虫も存在します。

外で暮らす猫には、

・ノミやダニ類などの外部寄生虫
・回虫や条虫などの内部寄生虫
・真菌
・猫風邪
・ウイルスによる感染症
・細菌による感染症
などが隠れていることがよくあります。

特に猫パルボウィルス感染症などは感染力も致死率も非常に高く、厳重に注意すべき感染症のひとつです。
見た目が元気そうでも、感染しているケースは少なくありません。

特に子猫同士や高齢猫、持病のある猫では、症状が強く出ることもあります。

保護した命を助けたい気持ちからの行動が、結果として先住動物の体調悪化につながってしまうこともありますので、安全が確認できるまでは、「隔離」をして、「生活環境を分けて」管理してください。
隔離期間の目安は2週間~1か月ですが、個々の症状や環境に合わせて判断をします。

動物病院の判断も参考にしましょう。

そして、隔離していても、人の手や衣服、飼育用品を介して感染することもありますので、
お互いのお世話の後は必ず、手洗いや洗浄、消毒を行ってください。

 

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隔離のポイント

・それぞれ別々の部屋が理想
・新しい子をケージで管理(子猫は段ボールがおすすめ)
・トイレ・食器を分ける
・触った後は手洗いをしてから他の子に触れる
・タオル類は洗浄してから使いまわす
・人の衣類にも注意 これらを目安に、安全な導入を行ってあげてください。


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次に大切な「保温」部屋作り

雨や風、長時間の放置などで、短時間でも低体温になることがあります。
保護直後の仔猫は体温が下がっていることが多いです。
仔猫は体温維持機能が未熟なため、人が温めてあげることが必要です。

冷えは
・動きが弱い
・鳴かない
・ミルクを飲めない
・消化機能の低下などを引き起こし、命に直結します。


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仔猫の平均体温

仔猫の体温は、
・出生時=35.0~36.5°C

・生後1週齢~3 週齢=36°C~37°C
・4週齢~=38°C~39°C です。(直腸温) ※仔猫の直腸での検温は病院で行ってもらいましょう。と、新生児に近いほど体温が低く保温が必ず必要になります。

保温剤などを利用して、母猫のように仔猫の周囲を温めてあげます。

※参考:成猫成犬の平均体温は38.0~38.5°C前後です

5推奨される仔猫の寝床温度は、
・0~1週齢 30°C前後
・1~2週齢 26~29°C
・2~3週齢 24~27°C
・3~4週齢 21~24°C
湿度は50%~60%程度を目安に保ちます。


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保温方法

・清潔なタオル、新聞紙(交換しやすいもの)
・湯たんぽ(市販湯たんぽ、カイロ、お湯を入れたペットボトル等)
・清潔な箱やケージ(子猫は段ボールがおすすめ)
・温湿度計


低温やけど注意
清潔な段ボールなどの箱を用意(汚れた場合に簡単に交換可能なのでおすすめです)
新聞紙と清潔なタオルを数枚用意し、箱の底に適宜敷きます。
保温剤(湯たんぽやカイロ等)を用意
箱の片側にタオルで包んだ保温剤を置きます。
箱の片側は保温剤を置かず、暑い時に逃げられる空間を作ります。
この時に段差ができないように作ります。
天井は極力開け、温度に応じて上から蓋代わりにバスタオルを掛けて保温します。
段ボールは、汚れたら新しい物に交換してください。
・箱の中に小さな室温計があると将来も使えて良いでしょう
適温かどうかの目安は、仔猫が心地よく眠っていること、鼻先や足裏などが淡いピンク色になっている状態、触ると体に力を入れて「のび」をするように動く、母乳を探すようなしぐさをするのが目安です。
反対に、
・体に触れると明らかに熱い
・苦しそうに呼吸している
・口を開けている
・皮膚や肉球に強い赤みがある

などの様子が見られる場合は、温め過ぎの可能性があります。
その際は、すぐに保温剤から離し、温度環境を調整してあげてください。

 

また、タオルが多過ぎると、仔猫が埋もれてしまい、窒息事故につながることがあります。 潜り込めるほど厚くする必要はありませんので、「ふんわり掛ける」よりも、「敷く」ことを 意識して設置してあげましょう。


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冷えた状態での授乳は危険

これまでお話させていただいたように、ミルクをすぐにあげたいですが、冷えている状態で無理にミルクを与えると、うまく飲み込めず、誤嚥につながることがあります。 全ての機能が未熟な仔猫が誤嚥してしまった場合は大変危険で、回復が難しくなりますので、十分に注意しましょう。


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動物病院が開いている時間であれば、保温と同時進行で病院に受け入れ可能かの確認をします。できるだけ早く受診の相談を行いましょう。 仔猫は見た目以上に状態が不安定なことが多く、命に関わる問題を抱えていることがあります。

・本当に授乳が可能な状態か
・どの程度衰弱しているのか
・緊急性があるのか
・先天性疾患や障害の可能性はないか なども、動物病院で獣医師による確認がとても重要になります。 受診の際も院内での「ゾーニング」が継続されるよう、病院の指示に冷静に従ってください。 もし、すぐに受け入れ可能な病院や、「外で暮らす猫の診察」に対応している病院が見つか らない場合は、まずはこのように保温を続けながら、次に行う「ミルクをあげる」というステップへ進みます。 必ず猫専用のミルクが必要です。販売しているお店を確認し、買いに向かいましょう。


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仔猫はとても小さく見えますが、保護直後には、感染症・低体温・低血糖など、命に関わる問題が同時に起きていることがあります。「助けたい」という気持ちも守るために、冷静に、適切に行動をし、助ける側も無理なく安全に関われるようにしましょう。

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次回予告
保温環境が整ったら、次は


 ミルクについて

・ミルクの選び方

・ミルクの作り方

・授乳の方法

・授乳時の注意点などです。

少しでも保護される動物たちと、保護をする皆様の助けになりますよう、ご参考いただけますと幸いです。

ではまた次回お会いしましょう。
ライラのしっぽでした。

 

吉成しおり
(ペットのトータルケア ライラのしっぽ代表/愛玩動物看護師)

※本コラムは、動物看護学の教科書および獣医療関係者講義の内容を参考に、飼い主さまにも分かりやすくまとめてい ます。実際の対応は状況によって異なる場合がありますので、ご不安な場合はかかりつけの動物病院へご相談ください。 参考資料
・『動物形態機能学・動物繁殖学』interzoo(全国動物保健看護系大学協会カリキュラム委員会)

・堀達也先生 講演
「犬と猫の繁殖学基礎講座」(日本臨床獣医学フォーラム第 15 回・2013 年)
「犬と猫 帝王切開前後の看護の注意点」(日本臨床獣医学フォーラム第 16 回・2014 年) 「犬と猫における新生児の看護」(日本臨床獣医学フォーラム 第 17 回・2015 年) 「犬と猫の繁殖の基礎」(日本臨床獣医学フォーラム第 18 回・2016 年)
・太刀川史郎先生 講演 「愛玩動物看護師のための子猫セミナー」(九州動物のための研究会主催・2024 年) ・堀達也先生 オンデマンド配信講演 「産前産後の動物看護」~PartI、II~(EDUWARD Press VETS ACADEMY・2024 年) ・小林正人先生 オンデマンド配信講演
「産前産後の動物看護」~PartIII~ (EDUWARD Press
・服部幸先生 セミナー
「子猫の迎え方」(服部幸セミナー事務局主催・2026 年)

参考リンク
・北海道環境生活部動物愛護センター 新しい飼い主さんを募集中の犬・猫 - 環境生活部動物愛護センター ・わんにゃんぴっ相談室

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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